ANAM CARAについて

ANAM CARAについて

風をまとう。光をまとう。 〜ANAM CARAの色と布〜

ANAM CARAの商品は、布を染め上げ、デザインして、仕立て上げるところまですべて手仕事で行っています。使用する布の多くは白生地木綿や麻など国産の布。ざっくりした縞の遠州木綿も好きでよく使います。シルクはインドのタッサーシルクを使います。手織りの野趣溢れる存在感のある布です。
柿渋と藍を中心に色を表現していますが、お日さまや風と対話をしながら、ゆっくり、ていねいに染め上げた布には、化学染料では表現できない独特の色合いや自然な色ムラがあり、時とともに味わいを増していきます。めざす色はあるものの、思いがけずいただいた色に美しさを感じることも多々あります。
風をまとうようにふんわり優しいストール、深い海のような藍色のシャツ、こっくりとした茶色のチュニック。ANAM CARAの服たちは染め上がった布の表情を見てカタチにしていくため、衿がアンバランスだったり、左右の丈が違ったり、不思議なところにポケットがあったり。刺し子や布のコラージュを施したり、心に響いた布は染めを施さずにカタチにしていくこともあります。袖をロールアップしたり、衿を自在に変えたり、ショールを巻いたりと、ご自分のスタイルで素敵に着こなすお客様を見ていると、嬉しくてワクワクします。
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その鮮烈な美しさで日本で古くから愛され、受け継がれてきた藍染め。青の濃さによって浅葱(あさぎ)、甕覗(かめのぞき)、縹(はなだ)、濃紺(のうこん)など、美しい呼び名で表現されてきました。そんな藍染めの一番の魅力は、使い込むほどに褪せていくものの、味わいが深くなっていくこと。着続けることで、色の変化を楽しむことができます。
また、藍には紫外線を遮る力や防虫・保湿・抗菌効果があることでも知られています。草木染めに使う植物の多くがそうであるように、藍も古くは薬として使われ、藍染めの肌着を着て、藍染めの布団に包まって病を治したという文献も残っています。
ANAM CARAでは主に天然のインド藍を使い、布に広がる風景をイメージして染め上げます。板締めや絞り、抜染も取り入れ、濃い青色に染め上げた布の色留めには薄く柿渋を重ねることもあります。
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柿渋液は青柿やしぶ柿の果汁を発酵・熟成させたもの。柿渋の主成分であるタンニンには防虫・防水効果や、染めたものを丈夫にするなどの効果があることから、番傘や酒袋、型紙などの塗料として古くから日常的に使われてきました。
渋柿染はこのタンニンが空気や紫外線によって発色していくもので、染めては陽に干すことを繰り返し、だんだん濃くなっていきます。また、染め上げてから数ヶ月寝かせると、明るい茶色でも深みが増し、とてもいい感じになります。夏はくっきりした色、冬は柔らかな色と、季節や染める方法によって多彩な表情を見せてくれるのも柿渋染の魅力でしょう。
お日さまや風に力を借りて。ときには何日も雨風にさらしたり、干し竿からとばされて泥水に浸かったり。けれど、そういうところから面白い色をいただいたりもします。
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白生地を「柿渋」で染め上げ、その上から「藍」を重ねて染めたり、野草や木の実、桜や梅の枝などの「草木染料」で染めた後に「柿渋」を重ねたり。あるいは松を燃やして作る「松煙(墨)」で染めた後に「草木染」を施すなど、色を重ねることで、より深みのある複雑な色合いが生まれるのが重ね染の魅力です。
ANAM CARAでも、墨と草木、柿渋と藍など、様々な重ね染を試みますが、組み合わせによって思いがけない素敵な色が生まれたり、季節によって色合いや表情が違ったりと、いつも新しい発見と驚きがあります。部分的な重ね染を施すことで、模様や色の濃淡を作り出すのも楽しい作業です。