伊那谷暮らし 日々のこと Vol.4

カエルや春蝉の鳴き声(蝉は羽音)が一日中流れている。鹿の声も春先は向かいの山側から聞こえていたが、家の裏側、だんだんと近くから聞こえるようになった。
大曽倉も田植えが終わり、辺りの景色が随分と変わった。下平地区(標高400m程)ではコシヒカリが植えられ、この辺りではあきたこまちが作られる。大麦やライ麦の実りの色づきも美しく目が飽きることがない。
(我が家に自生しているミョウガタケ)
(山で摘んできた山椒の実)

春先から幾度か採らせて頂いていた、トウブキが刈られた。まだまだたくさん生えているけれど固くなり始めもう食べるのはおしまい。ちょうど池上さんが下の田んぼを見ておられたので、少しばかり我が家にも自生しているトウブキをどうしたらいいか伺った。我が家のは土の具合か日当たり良すぎるせいか、あまり成長してくれずこの春は一度も採らずにいた。
「もう食べないなら切って肥料を少し撒いとくといいね。」と教えてくださり雨もパラパラしているので早速刈り取った。来年はいただけるかな?

この頃出始めたのが野ブキ。茎の太さは1cmに満たない。トウブキの太さ長さに比べたら驚くほど細い。よく食べられているのは茹でてアク抜きしたのを甘酢に漬けてというのだが仙人春日さんから「アク抜きしたのを甘酢で煮ると美味しいよ。僕はしないよ、奥さんの担当だけどね。」と聞き、やってみたところフキの香りと酸味とで爽やかな一品が出来た。
トウブキは下味つけて煮汁ごと、野ブキも同様に煮汁ごとジップロックに入れ冷凍保存。

(木登りの次は屋根登り。ちいは高い所が好きらしい)

(フキやタケノコの下茹でにこの春大活躍してくれた大鍋)

台風接近と梅雨前線の影響を心配して、上の下平さんが我が家の敷地に来ている山からの水の流れと池を見に来て下さった。ずいぶん前に氾濫した事があったそうで。私達が住み始めてからも3回池から水が溢れた。元々の持ち主の赤穂の下平さんに連絡すると、前の持ち主さんが手入れをあまりされずに流れが詰まっている所が何ヶ所かあるとの事で、さてどうしたものかと。この時夫は愛知県に行っており留守、池に堆積している泥をかくにも私一人じゃとても無理。で、ちょうど仙人春日さんが池上さんの田んぼの畦の草刈りに来た。何という私にとってラッキーなタイミング! 池の話をすると見てくれたが流れがよく解らず、赤穂の下平さんに電話で確認してくれた。

泥をかき草を刈り、本来の流れを取り戻し先ずはひと安心。しばらくすると赤穂の下平さんも心配して来て下さり、ご自分達が住まわれていた頃池で鯉を30匹飼い、下の水場で洗い物をし、この水場が大好きだったと話された。変わり果てたこの場所、奥様が毎日雑巾掛けをしてピカピカだった蔵、もう一度そういう姿を見ていただけるよう力を注ごうと思った。

風もないのに裏山の樹々がザワザワと揺れ、猿の群れが降りてきた。
居間のコタツに入っていたら、アナグマがノソノソと我が家の敷地を行き来し山の中へと姿を消した。 鹿の親子がガードレールを超え斜面を降りていった。間違いなくここ中沢地区に暮らす人の数より多い生き物たちがいる。
農作物の生産者にとって暮らしの糧を荒らす害獣。心が痛む。彼らが先住者だ。小谷村に住む従兄弟から聞いた話では、昔は鹿や熊を狩猟し生息する数のバランスが良かったのが、狩猟する事が減り数が増え食料が不足し作物を食べに来るのだと。加えて、奥地の開発やら天候の変化やらで人間の暮らし以上に厳しい状況下にあると思えてならない。
立派な出来具合にはならないかもしれないが、我が家の野菜でよかったら食べてもかまわないから…と山に向かって呟いたりした。彼らが先住者だ。

(くらふてぃあ杜の市に来て下さった仙人春日夫妻)

5月に仕込んだ小梅のカリカリ漬け、梅がシワシワになって初回失敗。お店のプリントされたレシピに砂糖とあったので普通に砂糖を使ったのだが本当は氷砂糖を使うとの事。
梅のエキスが出切ってしまったので梅はサヨナラして漬け液はお魚煮る時やドレッシング用に保存した。失敗と言ってもこんな事どうって事なく再度カリカリ漬け。今回は素晴らしく出来上がりつつある。

梅干しも南高梅を初め4キロ下漬けしたら、白梅酢の上がってくる間の香りがなんとも言えない良い香りでもう少し漬けようと3キロ追加した。中梅と南高梅を混ぜ合わせたがこれも良い香りを楽しみながら下漬け終わり赤シソを加え終えた。梅は手を選ぶとか、手が合わないとかいう事を聞いた事がある。私の母がそうだった。梅干しをこしらえていて梅にカビが生えた。赤シソを揉んでも色が出ない手の人もいた。おかげさまで私はどちらも無く桶の中の梅は順調。
漬けて間も無いのを友人に試食してもらったら「美味しい!」と言われ嬉しくなってしまい、訪ねて来てくれる人がある度にカリカリ漬けをお出ししていたらあっという間に少量になっていた。甘みを控えめにしてこしらえたので、ご飯にもお茶うけにも出せる。これから毎年の梅仕事に加えよう。


埼玉に住む友人がこしらえた梅干しの美しさ美味しさに魅せられ、昨年梅干しを1キロ恐る恐る初挑戦した。今年は梅干し、梅のらっきょう酢漬け、カリカリ漬け、たくさん梅を触らせてもらった。「また漬けるの?」と夫が呆れ顔で言うので「なんだかね、手が喜んでいるのよね。」と答えると「いい表現だねぇ。」夫も嬉しそうだった。

今月は来客が多く「久しぶり!」の嬉しい再会で楽しい時を過ごさせて頂いた。
愛知県からの友人夫妻、お世話になっているスズキガレージさん、小淵沢の友人夫妻、安曇野の叔母夫婦。
おそらく今月最後の来客になるだろう再会は岐阜県に暮らす叔父と叔母、フィンランドから一時帰国しているイトコ。
積もる話で瞬く間に時が過ぎた。


29日、関東甲信が梅雨明けした。今日(30日)は南アルプスの頭上に入道雲があり、まさに梅雨明けの景色だ。夏の蝉も地上に出始めウグイスと共に耳を和ませてくれている。 夏が始まった。

(採ってきたマタタビを干すカゴに入って陶酔状態?のちい)

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