伊那谷暮らし日々のこと 11月 Vol.9

伊那谷暮らし日々のこと 11月 Vol.9

愛知県に向かう1日の朝、冷え込んで−4.5℃霜で真っ白。わぁ〜綺麗だ!と車のエンジンをかけて暫く庭を眺めていた。霜に当たって枯れていくのがあれば、お構いなしに元気なのあり、霜が降りて甘みを増すネギや大根、白菜、キャベツ。春からずっと楽しませてくれてきた庭は様子が変わり、随分とスッキリした様になった。
今回の愛知行きは色々スケジュールを入れて2泊3日。1日は織りをしている友人宅を訪ね作品の数々を拝見させていただいた。アシュフォードの織り機を染めの仕事の合間、気分転換にでもと思い13年ほど前に購入したのだが、織りだすと楽しくてちょっとだけでは済まなくなる。有難い事に年々仕事が忙しくなったが、気分転換で機の前に座る気持ちの余裕も失くしていた。蒲郡のクラフト出展した時に来てくれた友人から織りの話を聞き、作品作りに足してみようかという思いになり今回伺った。裂く布や色の組み合わせも自由でとらわれない素敵に織られた布たちは染めとはひと味、ふた味も違う表情で楽しかった。私の手からどんな織りが生まれるか、また新しい世界を広げてくれるかもしれない。西尾に居た頃、紅葉した桜の葉から頂いた色素で染めたシルクのショールが、桜の仄かな香りと共に染まり上がった事に感激した事があった。そんな事を思い出して通っていた道沿いに車を止めて桜の木の色づいた葉っぱを拾い集めた。こういう時、自然と手を貸してくれる夫は立派だ。集めた葉っぱをネットに入れて水洗いしポリバケツに入れて水を張る。時間をかけて色素を抽出するので腐敗を防ぐために酢を入れたりしたが、気温の低さは間違いなく保てるのでまずは水だけで様子を見る事に。一週間後、驚くほど色素が出ていた。葉っぱを集めている時葉っぱの厚みでソメイヨシノではないのはわかったが間違い無く桜のはず。ソメイヨシノよりは香りが薄いが桜の香りがする。赤い色素を出し切った葉っぱは黄色っぽい茶色のシックな表情に変わった。これは堆肥作りに足すことに。あとは染める布を用意して…今回もシルクのショールかな。中川村、天竜川を渡り山あいを登り点在する民家を通り抜けて脇道に入って現れたのが
アンフォルメル中川村美術館。中央アルプスを背景に雄大な大自然の中に斬新な建築物。NHKの新日曜日美術館で放映された?と思ってしまうような、そんな景色に僅かに身動き出来なくなった。
日本で唯一のアンフォルメル美術館はフランス芸術文化勲章を受賞された鈴木崧画伯の構想のもとに建築家毛綱毅曠氏(もづな きこう)の設計により造られ、作品も含めて中川村が譲り受け管理運営されている。
アンフォルメルとは…フランス語でヨーロッパ、特にフランスを中心に1950年代に展開された抽象絵画の動向を指す言葉で、写実的ないし象形的な形体表現に頼らず、自動記述的表現をそのまま画面に定着することの中に自己表現を託していこうとする抽象絵画が生まれた。結果としての作品の形状が〈不定形、無形態〉であることからアンフォルメルと呼ばれる…というややこしい定義なのだが、鑑賞した作品はどれも「いい感じ〜」「これ好き!」「すごっ!」が当てはまり絵のタイトルとは別に、ストーリーが浮かんでくる想像力掻き立てられるワクワクがあった。
常設と企画展でこれからも足を運ぶ楽しみが増えた。誘ってくれた夫に感謝!
毎朝霜が降りるようになり青首大根、赤大根、紅芯大根を収穫。ご近所さんからいろいろ情報を頂きお漬け物の準備に取り掛かる。師匠から大きな白菜、ズッシリと太くて重い大根を山ほど、カボチャや松本ねぎもどっさり頂戴した。百合子さんからも大根と白菜、節子さんからは大根を届けていただいた時に「野沢菜を抜きにおいで」と言われ、ほんの5〜6株頂いてあとは買って足すつもりで喜んで気軽に行ったら、「私は漬けないから全部抜いて持っていってね」と。あまりの量に驚いたが、私が漬ける用にと育てておいてくださったのだから、お引き受けせねばと20キロの野沢菜を運んできた。 大根は生を適当にカットしてお醤油漬けを6kg。干したもので玄米粕漬けを16kg。5kgの白菜はキムチに。野沢菜は10kgずつ長いまんま塩漬けとお醤油漬け。長漬けは年末頃から食べられるようになるので、今から食べるように3cmくらいにした切り漬けを3〜5kg随時漬けていく。「漬け物屋さんでも始めるかい?」夫の言葉に苦笑いした。二人が頂く量だけならこれ程仕込む必要はないが、ほんのちょっと漬けるのでは美味しくない。友人知人へのお届け物に添えたり、訪ねて来てくれた方へのお土産に役立ってくれながら、きっと桜が咲く頃には桶の底が見えているだろう。切り漬けの減り方の早いこと‼︎11月は10月以上に早く感じられて、あっという間だった。野沢菜漬けの桶の蓋を毎日開けては水の上がり具合をチェックし、ビニールハウスで育っている小松菜、冬菜、ミックスレタス、春菊の間引きをし、染めて、縫って。明日から12月、ちょっと気持ちを引き締めて背筋を伸ばしたい気分。還暦とやらになる!(笑)

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. posted by とみなが まさお

    6月にサイトをお教え頂き、
    久しぶりの閲覧でした。
    楽しく読ませて頂きました

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